公善社のブログ

【公善社情報】
 8月1日、セレモール出雲にて接遇マナー講習(島根県葬祭業協同組合主催)が開催され、当社スタッフも参加しました。講師は、株式会社島根人材育成(出雲市江田町)代表取締役・江角尚子さん。島根人材育成さんは社員研修、キャリアコンサルティング、職業訓練等幅広い分野で事業展開していらっしゃる会社です。詳しくはホームページをご覧ください。

【今さらながら石見銀山に行ってきた】
 私事で恐縮ですが、7月の酷暑の中、石見銀山に行ってきました。通算3回目、2007年に石見銀山がユネスコの世界遺産に登録されてから初めての訪問となります。なぜ今さら?
 『しろがねの葉』(千早茜/新潮社/2022年)が今年初めに直木賞を受賞して以来、同書と『世界を動かした日本の銀』(磯田道史、近藤誠一他/祥伝社新書/2023年)が、長期にわたり某書店で平積みにされ、大々的に売り出されています。その圧に負けて上二書を購入したところ、石見銀山に行ってみたくなったという次第です。
 千早茜さんの長編小説『しろがねの葉』は、江戸幕府が開かれた頃石見銀山に生きた女性の半生を描いた作品です。銀山で働く坑夫やその家族の生活がどのようなものであったかを想像する機会が乏しい中、本書は様々なことを教えてくれました。間歩(まぶ)と呼ばれる坑道を女性の胎内に重ね、そこで死者と交感するという秀逸なイメージは、著者の優れた感性の賜物だと思います。
 『世界を動かした日本の銀』は、2022年2月に開催されたシンポジウム「世界遺産“石見銀山遺跡とその文化的景観”」(国際日本文化研究センター共同研究会主催)における講演を文書化したものです。本書では様々な論点から石見銀山が語られていますが、次の二点が特に印象に残りました。まず、石見銀山が産出した銀によって、世界的な貨幣経済の発達と日本国内の産業の発達が大いに促されたこと。そして、灰吹法(はいふくほう)という精錬技術をもって、300年以上もの長きにわたって採掘・精錬と環境保全を両立し得たこと。石見銀山に「世界遺産」というブランドが授けられた理由を具体的に知ることができました。
 上二書に促され、改めて現地に立ってみると、世界遺産登録前とほとんど変わらない佇まいがあり、その「変わらない」ところに石見銀山の価値を見出せるような気がしました。ご存じのとおり、銀山周辺にアトラクティブな施設はほとんどありません。ある種の美意識に石見銀山は守られているような気がします。また、人口や面積からして神社仏閣が異様に多いことに象徴される独自の精神性も影響しているのかもしれません。
 中村ブレイスさんと群言堂(石見銀山生活文化研究所)さんという有名企業が石見銀山に本社を構えています。もちろん、両社とも世界遺産登録のはるか前に創業しており、世界遺産というブランドに寄りかかろうとするものではありません。陸の孤島とも言えるこの地に拠点を置き続ける二社も、石見銀山のそうした姿に魅了されているのかもしれません。
 石見銀山は1500年代から本格的な採掘が始まり、1800年代に事実上の閉山を迎えました。鉱業権は現在島根県が持っているそうです。世界遺産というブランドを手にしながらも、泰然として人間の営みを包み込む石見銀山に、島根県人として愛しさを感じずにはいられません。

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