公善社のブログ

核兵器使用 原発攻撃 NO!

【トピックス】
 まん延防止重点措置は解除されたものの島根県における感染者数はいっこうに減少せず、ウクライナ紛争も和平への見通しがつかないまま、不穏な日々が続いております。
 ウクライナ紛争については一刻も早い停戦と平和的解決を願うばかりですが、プーチン大統領の核兵器使用をほのめかすような言動と原子力発電所への火器攻撃には驚かされました。核兵器保有国の指導者にはぜひ『はだしのゲン』を読んでもらい、核兵器の非人道性を学んでほしいと思います。

【2022読書日記5】
 稲垣栄洋『生き物の死にざま』(草思社文庫/2021年)を読みました。人間の「死にざま」に日常的に接する葬儀業界の人間として、他の生物の死にざまに興味を抱くことは不自然ではないでしょう。
 著者の稲垣氏は静岡大学で雑草生態学を研究する先生ですが、本書では植物ではなく、昆虫、魚、動物等の死にざまが語られています。生物学にまったく明るくない人間でも本書で紹介された29種の生き物の「死にざま」と「生きざま」を理解することができるのは、著者の筆力のおかげです。
 本書は次のことを私たちに教えてくれるでしょう。すなわち「なぜ生きるのか?→遺伝子を残すため」。「なぜ死ぬのか?→進化するため」。そして「遺伝子が環境に適応した戦略を選びとり、個体の生きざまと死にざまを決める」という冷徹な事実。すべての生物は遺伝子がプログラムした生きざま、死にざまを強いられているのです。
 ひるがえって、人間が遺伝子の命令から自由であるのか? また、人間は主体性を持つ特権的な生物であるのか? 難しい問題であり様々な見解があるのでしょうが、ほとんどの人は「人間=主体=他の生物の上に立つ特権的存在」という認識を持っているのではないでしょうか。本書を読んで遺伝子に支配される生物たちの「生きざま」「死にざま」を知る時、多くの人はある種の「上から目線」で生物たちの不自由さを哀れみ、その生涯にものかなしさを覚えているはずです。
 ところで、宮崎駿『風の谷のナウシカ』(原作漫画のほうです)の登場人物は、旧人類が再生するためにプログムされた存在でした。腐海の生き物たちも含めて、旧人類が計算したとおりに生かされ、滅びゆく存在だったのです。しかしながら、それだからと言ってナウシカに存在価値がないとは誰も思わないでしょう。闘いの明け暮れに「王蟲のいたわりと友愛」を享受し、「いのちは闇の中にまたたく光だ」と感じるナウシカの人生が喜びに満ち溢れていることは想像に難くありません。
 本書に登場する生き物の生命活動が、ナウシカと同様の喜びを感じていないとは誰が断言できるのでしょうか。遺伝子の支配下にありながらも充実した時間を生きているのかもしれないのです。本書を読んで、すべての生命の生きざま、死にざまに敬意を払うべきであることを学びました。ひいては、人間の生きざま、死にざまに対しても同様であるべきだと思います。

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