【トピックス】
プロ野球の開幕と大相撲大阪場所の終了から一カ月が経過しました。出雲市出身のNPBプレイヤーと大相撲力士の現在地を確認しておきたいと思います。
42歳となった和田毅投手(福岡ソフトバンク・ホークス)は、今年もローテーションの一角を担います。開幕から3試合に登板して2勝1敗と、好スタートを切りました。シーズン終了まで故障なく過ごしていただきたいものです。
高野脩太投手(千葉ロッテ・マリーンズ)は、残念ながら開幕を一軍で迎えることはできませんでした。現在ファームで経験を積んでいるようですが、早期の一軍昇格を期待します。
琴布野さん(ことふの/佐渡ケ嶽部屋)の春場所での成績は、序二段西94枚目で一勝六休でした。夏場所での巻き返しを期待します。4月27日記
【『もものこと』を読む】
本書『もものこと』(山本おさむ/小学館/2023年4月)は、“いま、目の前にある「老い」を生きる”新漫画レーベル「ビッグコミックスフロントライン」の第三弾として発行されたものであり、以前紹介した『父を焼く』に続く山本作品です。以下ネタバレとなりますので、ご注意ください。
本書の主人公は、一人暮らし(妻すでに死亡、子供なし)の81歳男性。つつましい額の年金生活者であり、迷い犬として拾った愛犬「もも」と暮らしています。そして、肺がんのステージ4と診断され、余命1年の宣告を受けます。自分の死後を案じて、何とか「もも」の新しい飼い主を見つけ出そうと奮闘しますが、なかなか上手くゆきません。
それでも、運命の導きにより、主人公は「もも」に見守られながら自宅で息を引き取り、「もも」はかつての飼い主のもとに戻ります。この上ないハッピーエンドとも言えるのでしょうが、正直、後味が良いとは言えません。
本書では、主人公の死に至るまでの過程が、例えば少ない年金、不治の病、重い医療負担、情報弱者、孤立、疎外、社会的分断等々に絡めて、重々しく描かれています。老いを生きる人々が抱えざるを得ない苦悶や心残り、すなわち「老いの哀しみ」と言うべきものが、本作から痛いほど伝わってきます。
高齢でお亡くなりになる方々は、ご生前どのような境遇にあったとしても、多かれ少なかれそうした老いの哀しみを味わい、それらと苦闘された末にお亡くなりになっているはずです。その闘いを終えご遺体となられた方々に対して、私たち葬儀業に携わる者は「ご苦労さまでした」「お疲れさまです」という気持ちで対面し、お見送りの手伝いをさせていただかなければなりません。
本書で描かれた老いの哀しみに触れ、葬儀業に携わる者の基本姿勢を改めて確認することができたような気がします。また、ペットを飼うということの重みを痛感させられました。ほとんどの方は責任感をもって飼っていらっしゃることと思いますが、飼い主の死後、ペットが悲惨な末路を迎えることがないよう祈ります。
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