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葬儀マンガではないけれど…

【トピックス】
 今年の箱根駅伝においては駒沢大学が往路も復路も制する完全優勝を果たし、出雲駅伝、全日本大学駅伝と合わせて三冠を達成しました。箱根駅伝で駒沢大学の6区を担った伊藤蒼唯(あおい)選手は出雲市出身(河南中→出雲工業)。区間賞を獲得する走りで、駒沢大学の優勝に大きく貢献しました。まだ1年生であり、将来が楽しみです。イケメン君でもあります。
 増田明美的ミニ情報を付け加えておきます。松任谷正隆・由実(ユーミン)夫妻は駒沢大学陸上部の大ファンであり、毎年末、合宿所にシュークリームを差し入れてメンバーを激励しているそうです。正隆氏39歳のおり砧公園でジョギングをするようになって、交流が始まったとのこと。汗くさいスポーツとは縁遠いと思っていた松任谷夫妻の熱烈応援、なんとなく嬉しく思います。
 ところで、来年の箱根駅伝は100回記念大会となり、参加校を関東学生陸上競技連盟所属校に限定せず、オープン化するそうです。予選会を他地域の大学が勝ち抜けば、本選に出場できるとのことですが、少なからず違和感を覚えます。東京六大学野球、関東大学ラグビー対抗戦(改編の余地あり)と同様、今までに培った伝統文化を尊重していただきたいものです。1月5日記

【漫画『父を焼く』が胸に迫る】
 山本おさむ『父を焼く』(小学館)の単行本が、昨年11月に発刊されました。小学館発行『ビッグコミック・オリジナル』5月20日号から連載されたようです。原作は宮部喜光氏、山本氏が作画を担当しているようです。
 山本おさむ氏と言えば、一般的には『そばもん』の作者としての知名度が高いのではないでしょうか。『そばもん』では出雲そばも取り上げられ、ご存じの方も多いと思います。それ以外の作品では、山本氏は一貫して重いテーマを扱ってきました。例えば『どんぐりの家』における重複障害、『遥かなる甲子園』『わが指のオーケストラ』におけるろう教育、『赤狩り』におけるレッドパージ。また自伝的作品とも言える長崎県諫早市を舞台にした『オーロラの街』では、戦後の貧困が赤裸々に描かれています。この重いテーマの延長線上に、本作『父を焼く』はあります。
 『父を焼く』では、孤独死した父親の葬儀を執り行う主人公の心情が事細かに描かれています。お互い自分の生活で精一杯、思いはあれどもままならない扶助…様々な事情で分断された親子関係が孤独死を生み、葬儀へと進んでゆきます。どうにもならない状況に身を置きながらも、主人公は親子の絆を再考し、「生きることの意味」にたどり着こうとします。
 本書は帯に記された「超重量人間臨終絵巻」というコピーが示すとおりの作品であり、葬儀そのものを超えて、人間の生死の意味を問うものです。葬儀の施行がスマートになってゆき、死者に対する感情も冷ややかとなりつつある昨今、本作は「それでいいのか?」という問題提起をしているかのようにも思えます。
 昨年末に清水俊『終のひと』が完結し、少し寂しい思いをしていたところ、この『父を焼く』を発見しました。遺体の発見現場、警察署でのやり取り、通夜・葬儀・火葬の様子等、山本氏独特の重い筆致でリアルに描かれており、葬儀に携わる者も納得する作品となっています。三月にはシリーズ第二弾も刊行されるようなので、楽しみにしています。

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