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『終のひと』第一巻を読んでみた

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今回は『終(つい)のひと』(作・清水俊/双葉社刊)という漫画を紹介させていただきます。葬儀屋さんを主人公とした作品で、週刊アクションに連載中です。講談社、集英社、小学館のようなメジャー出版社の刊行物ではないので、書店に在庫があるかどうかは微妙なところですが、アマゾンなら今のところプライムで購入できます。

葬儀を取り扱った漫画作品は多数あると思いますが、狭い意味でのエンターテイメントの枠内で葬儀というテーマを扱いきれるのかは常々疑問であり、それらに目を通すまでには至りませんでした。このたび本書を手に取るに至ったのは、信頼すべきブロガーであり優秀な葬儀屋さんである赤城啓昭氏が、ご自身の「考える葬儀屋さんのブログ」で紹介していたからです。赤城氏は本作の企画段階において取材協力をしたとのこと。
https://kangaerusougiyasan.com/archives/tuinohito1.html
本書の帯には「誰にもいつか必ず訪れる人生の締めくくり、最後まで寄り添う“葬儀屋”の矜持を描く」とあります。絵の好き嫌いや主人公の風貌に対する賛否はあるかもしれませんが、内容は充実していると思います。葬儀の描き方が細部にわたってリアルであり、ストーリーの展開にもぎこちなさを感じません。私たち葬祭業に携わる者が読んで白けるような描写はほとんどないと言ってよいと思います。

『終のひと』はド定番?の葬儀屋新人成長物語であり、作品の根底において「良いお葬式とは何か?」という問題提起がなされています。その問いに対して、作者の清水氏も、考える葬儀屋さんである赤城氏も「分からない(=正解はない)」と言います。したがって、正解に辿り着くマニュアルもありません。思うに、そのマニュアルなきところ、不定形の正解を求めて一つひとつの葬儀に全力で取り組むことにこそ、“葬儀屋”の矜持(プライド)があるのかもしれません。

こうした思いは、多数の心ある葬祭業者が共有しているものだと思います。そして、その貴い思いを抱きながらも上手く表現しきれていない葬祭業界にとって、清水氏のような代弁者が現れたことは一つの僥倖ではないかと思います。今後の『終のひと』の展開が楽しみです。

【追記】
『葬式はいらない』『ゼロ葬』の著者・島田裕巳氏の御母堂様が4月27日にお亡くなりになりました。看取りの様子と火葬の様子をご自身のブログ『島田裕巳の「経堂日記」』に記されています。「ほぼ直葬」を選ばれたようです。淡々とした筆致ながらも、お母様への思いが溢れ出る素敵な文章でした。ご冥福をお祈りします。

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