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安倍元首相の国葬に思う

【トピックス】
 9月29日、日中国交正常化から50年を迎えました。1972年に当時の田中角栄首相が訪中して国交正常化されたことにより、友好の印として初めてパンダが上野動物園にやって来たことを若い人はご存じでしょうか。
 その後、日本からの資金、技術援助を受けて、中国は急激な経済成長を実現します。過去にそうした互恵関係がありながら、現在、日中関係は様々な局面で対立が生じています。おそらく「恩知らず」的な側面はお互いにあるのだと思います。太古からの物心両面での交流と東洋的価値観の共有を礎に、互恵的な関係を再構築したいものです。9月29日記

【安倍元首相の国葬に思う】
 9月26日、安倍晋三元首相の国葬議が日本武道館にて執り行われ、内外から4138人が参列しました。国葬の是非、手続き上の問題、安倍氏への評価は別にして、国葬が無事終了したことに安堵の思いを抱きます。あらためて安倍氏のご冥福をお祈りします。
 当日夜、YouTubeにさっそく国葬をノーカットで記録した動画が投稿され、じっくり見ることができました。田舎の葬儀業者の国葬に対する率直な感想を記しておきたいと思います。

 祭 壇 祭壇を正面から見ると、ずいぶん奥行があるように思われますが、横から見ると意外に薄っぺらなもので、巨額な予算のわりにはチープなものでした。祭壇の中央部分は「道」を表現しているものと思われます。道の彼方に安倍氏の遺影があり、故人の足跡が偲ばせるようなデザインとなっています。その両サイドの部分は冠雪した山をイメージしているのでしょうか。
 デザイナーの意図は日本人の私たちにはなんとなく汲み取れると思いますが、外国からのゲストはどのような印象を抱いたのでしょうか。ぜひ知りたいものです。
 進 行 全体的には、ほぼ淀みなく進行されたと思います。皇族方の入退場、献花はリハーサルなしで行われたはずです。多少の滞りはあったようにも思えましたが、常にフォローできる体勢がとられていたので安心して見ていることができました。
 微細な不手際はあったのかもしれませんが、その後の遺族、来賓、一般の献花もスムーズだったと思います。
 弔 辞 岸田首相の弔辞と菅前首相の弔辞は良くも悪くも対照的であったように思います。岸田氏の弔辞は、まるでAIが作ったかのような無難かつ総花的な安倍賛美の文章でした。様々な局面において無難なもの言いで対処し切る能力は岸田氏の美点であり、弔辞にも氏の「らしさ」が表現されていたと言えると思います。ただ、人の心を動かすものであったかどうかについては疑問に思います。
 一方、菅氏の弔辞は人々の心を動かすものでした。間違いなく菅氏自身の言葉で紡がれた文章であり、朴訥な言葉遣いでありながら、菅氏の追悼の思い、菅氏と安倍氏の絆、安倍氏の志と人柄がひしひしと伝わってくる素晴らしい弔辞でした。菅氏の弔辞が終わると、会場から拍手が送られました。異例のことだと思いますが、拍手したくなる気持ちはよくわかります。
 音 楽 演奏は海上自衛隊が担当したようです。献花のBGMには、クラシック音楽とJポップから無難なものが選ばれました。ヨーロッパの音楽ではなく、日本人の作品を選べばよいのにと思った人もいたのではないでしょうか。
 安倍時代を彩るヒット曲『川の流れのように』(美空ひばり)『千の風になって』(秋川雅史)『いつも何度でも』(木村弓)『涙そうそう』(夏川りみ他)が流れるという演出は、安倍氏の足跡を振り返る意味で、とても効果的であったと思います。

 総じて立派な国葬であったと思います。安倍氏の国葬に先立ち、英国でエリザベス女王の国葬が執り行われましたが、これと比較するのはナンセンスです。エリザベス女王の国葬と比較すべきは昭和天皇の大喪の礼です。女王の国葬と大喪の礼は宗教儀礼そのものであり、儀礼と葬列がメインであるのに対し、安倍氏の国葬は宗教色を排した告別式です。
 今回、日本武道館の近くに設けられた献花台に献花した人の数は2万5千以上だったそうです。この数字が多いのか少ないのかはわかりませんが、国葬を執り行うことによって、2万5千もの弔意が直に安倍氏に届けられたという点は評価すべきだと思います。

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