公善社のブログ

警察と葬儀社/『終のひと』第4巻を読む

【トピックス】
 いつになったらウクライナに平和が訪れるのでしょうか。日々心を痛めています。ふと気づいたのですが、ウクライナ、ロシア両国の宗教関係者からの発言がほとんど伝わってきていないような気がします。両国民とも多くはキリスト教(東方正教会系)を信仰していると思うのですが、宗教関係者が和平を働きかけることはないのでしょうか。こういう時こそ、キリスト教がうたう愛の精神を発揮してもらいたいものです。6月9日記

【公善社情報】
 5月27日より、セレモール松江支配人・仁村栄子がインスタグラムを始めました。今のところ、松江市東津田町の空模様と倫理研究所発行の『職場の教養』を読んでのコメントを発信しておりますが、今後の展開に期待していところです。公式インスタグラム同様、イイネとフォローをお願いします。

【2022年読書日記8】
 漫画『終(つい)のひと』(作・清水俊)第4巻が5月末に発行されました。葬儀業界からも高く評価される作品であり、当ブログにおいても第1巻から継続して紹介させていただいています。
 今回取り上げられた題材は、第3巻から続く「社葬」と「警察と葬儀社との癒着」です。社葬については、本年1月9日の投稿で「社葬は過去の遺物ではないのか」とコメントしておりますが、第4巻を読んで「遺族と会社側の思いが一致し、費用対効果で実があるなら今後もあり得るのかもしれない」という感想を持ちました。
 そして「警察と葬儀社との癒着」。以下は現実の話です。本年3月に、葬儀社から賄賂を受け取った神奈川県警の元警察官が有罪判決を受けました。元警察官は、警察が取り扱った死者の遺族を紹介する見返りに、葬儀会社から現金や金券等200万円分を受け取ったそうです。
 自殺、他殺、事故等で死因のわからない遺体が見つかった場合、現場から保管場所である警察署もしくは司法解剖を行う病院へ搬送しなければなりません。通常であれば、遺体搬送は警察が担うのですが、神奈川県警の場合、その搬送の大半を葬儀社に任せていたようです。それでは、搬送を請け負う葬儀社を神奈川県警はどのようにして選定するのでしょうか?
 入札という制度はなく、警察が複数の葬儀社を紹介して遺族が選択するという形をとっていたようですが、遺族が積極的に選択するというケースは少なく、ほとんどの場合、現場の警察官が恣意的に葬儀社を遺族に紹介していたと思われます。葬儀社側としては、搬送を請け負えば、そのまま葬儀を受注する確率が高くなるわけで、ついつい「当社を優先的に紹介してほしい」と警察に働きかけたくなります。そこから、賄賂が発生したようです。
 以上のような癒着が『終のひと』第4巻では取り上げられています。「神奈川県警」という固有名詞が使われ、贈収賄の場面が堂々と描かれています。作者と編集者の「攻め」の姿勢には感服します。幸いなことに、ここ出雲市においては、そういった癒着は一切ありません。遺体発見現場から警察署・病院等への搬送は100%警察の手で行われています。また、遺族が葬儀社を選定する際に警察が口を出すこともありません。
 ところで病院においては、病理解剖したご遺体の搬送を一つの葬儀社が独占的に担うということもあります。しかし、この場合、入札という公正なかたちで葬儀社の選定が行われています。もっとも、当社の経験から言えば、病理解剖後の搬送を請け負ったとしても、それが葬儀の受注につながるというわけではありません。

 葬儀を取り扱った漫画としては異例の長さで連載を継続している『終のひと』ですが、作者・清水氏のツイートによると、次の第5巻をもって終了するそうです。どのようなエンディングとなるか楽しみです。

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