【トピックス】
11月16日現在、1ドルは139円40銭前後で取引されています。ここ数カ月、円が1ドル150円台まで下落し、「円安」と騒がれました。しかしながら、現在50歳以上の人は1ドル360円であった時代を知っています。当時の円の価値は、今日の2分の1以下だったわけです。
円の購買力が低いわけですから、当時、外国産品を輸入することは簡単ではありません。今日のように外国産の穀物、肉、魚介類が安価で輸入され、庶民レベルで飽食し、大量のフードロスを出すことなど、当時は想像すらできませんでした。気軽に外国旅行を楽しむ、庶民が外国のブランド品を買う、自動車を一家で数台保有すること等も同様です。
現在は落ち着いていますが、今後また円安が進行しないという保証はありません。円安が定着すれば、今日の消費の在り方を継続できなくなる可能性があります。一度贅沢を味わうと、後戻りすることには誰しも抵抗を覚えるでしょうが、今回の「円安」を、日本人の行き過ぎた消費を反省する機会とすべきだと思います。消費のあり方を見直しながら、地球環境の保全、国民生活の自律(食糧自給率、エネルギー需給率の向上)にも関心が向けばよいと思います。11月17日記
【葬儀とJASRAC】
少し前の話です。10月24日、JASRAC(ジャスラック/日本音楽著作権協会)に音楽教室から著作権使用料を徴収する権限があるかどうかが争われた裁判で、最高裁が判決を出しました。
音楽教室の教材となる楽曲のほとんどは西洋のクラシック音楽であり、著作権フリーの状態になっていますが、近年発表されたポピュラーミュージックを演奏する場合もあります。JASRACは「著作権が生きている楽曲を音楽教室で演奏すれば、教師生徒を問わず、著作権使用料を支払うべき」と主張しましたが、結果、最高裁は「教師の演奏からは徴収してもよいが、生徒の演奏については徴収すべきでない」との判決を下したのです。
判決の是非はともあれ、今回の裁判でJASRACの存在を知るようになった人も多いのではないでしょうか。私たち公善社とJASRACとの出会い?は、平成18年6月に開催された第4回フューネラル・フェアでした。フェアでミニコンサートを企画し、フェアのチラシにJポップ数曲を含む演奏曲を記していたところ、それをJASRACはしっかりチェックしていたのです。後日、当社にJASRACから著作権使用料の請求書が送られてきました。著作権についてあまりに不勉強であったことを悔やみつつ、事実関係を確認の上、支払わせていただきました。
おかげさまで、その後当社では、音楽のみならず映像、文字情報等で著作権を侵害していないか気を配るようになりました。葬儀に関して問題になるのは、葬儀におけるBGM、ホームページ、ブログ、SNS上の画像、音声情報等だと思います。現在、当社では著作権フリーのものをBGMに使用しており、ネット上の発信についても著作権の侵害がないよう厳しく管理しています。
ところで、ご遺族から「故人が好きだった美空ひばりの歌を葬儀で流してほしい」という依頼があった時、どう対処すればよいのでしょうか? 自宅葬で音源を使用するには著作権の問題は発生しないそうです。葬儀の運営主体はご遺族であるとの解釈。一方、営利団体である葬儀社の葬祭会館における葬儀で音源を使用する場合には、葬儀社が著作権使用料を支払わなければなりません。ちなみに、ご遺族が再生機器を葬祭会館に持ち込んでCDを再生することも葬儀社がCDを再生していると解釈されるそうで、歌唱、楽器の演奏にも同様の解釈が適用されるとのことです。
以前、故人が自宅から火葬場に向けて出棺される時、突然打合せもなく、ご遺族数名がある歌を合唱されたことがありました。とても感動的な場面でした。仮にこの楽曲がJASRACの管理下にあり、当社の会館からの出棺であったなら、当社がJASRACに著作権使用料を払うことになるのでしょう。故人への思いを歌に託し、追悼しようとするご遺族の行動に著作権使用料を求めるJASRACさん、これから音楽文化に親しもうとする夢いっぱいのプレイヤーに著作権使用料を求めるJASRACさん、どうか柔軟な思考をよろしくお願いします。
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